貼り付けた内容はどう扱われるか
| アカウント | 学習に使われる? | 保存期間 |
|---|---|---|
| ChatGPT Free、Plus、Pro の通常のチャット | 初期設定では使われます。Settings → Data controls(設定 → データコントロール)で Improve the model for everyone(モデル改善への利用を許可する項目)をオフにします。対象はこれ以降の新しいチャットだけです。 | 削除するまで残ります。削除したチャットは通常 30 日以内に消去されますが、セキュリティや法的な理由による例外があります。 |
| ChatGPT の一時チャット | 使われません | 安全のため最長 30 日間保持された後、削除されます。保存すると通常のチャットになります。 |
| ChatGPT Business、Enterprise、Edu | 初期設定では使われません | ワークスペースの設定によります。管理者に確認してください。 |
| OpenAI API | 初期設定では使われません | 不正利用監視のログは、初期設定で最長 30 日間保持されます。機能によっては、削除するまでファイルや状態が保存されます。データを保持しない設定(Zero data retention)には承認が必要で、すべての機能が対象ではありません。 |
見落とされやすい点が三つあります。
- フィードバックも対象になる。個人アカウントで高評価・低評価を付けると、学習をオフにしていても、その会話全体が学習に使われることがあります。
- ファイルはチャットより長く残ることがある。アップロードしたファイルはファイルライブラリに別に保存されることがあり、チャットを削除してもファイルが消えるとは限りません。
- 人がデータを見る場合がある。OpenAI は、サポート、セキュリティ、法的な理由による許可されたアクセスを挙げています。学習をオフにしても、これはなくなりません。
出典(いずれも OpenAI の英語ページ):How your data is used to improve model performance、Chat and file retention、Temporary Chat、Enterprise privacy、API data controls。2026年10月20日 確認。
Claude と Gemini は扱いが異なる
- Claude(Free、Pro、Max): Settings → Privacy(設定内のプライバシー項目)で、チャットをモデルの改善に使うかどうかを自分で選びます。許可した場合、データは最長 5 年間保持されることがあります。許可しない場合、削除したチャットは約 30 日以内に消去されます。Team、Enterprise と API は別の商用規約の対象で、初期設定では学習に使われません。(Anthropic、Claude プライバシーセンター)
- Gemini アプリ: Keep Activity(アクティビティの保存に関する設定)をオフにすると、それ以降のチャットはフィードバックを送らない限り学習に使われません。ただし 72 時間は保持され、人のレビュアーが確認したチャットは最長 3 年間保持されることがあります。エンタープライズ向けの保護がある職場・学校のアカウントは扱いが異なります。(Gemini アプリのプライバシー ハブ)
学習のほかに確認すること
- 患者データ。個人を特定できる患者データを、個人のチャットボットアカウントにアップロードしないでください。こうしたデータをクラウドサービスで扱うには、法的根拠、適切な契約、承認された環境が必要です。判断するのは所属機関であり、チャットボットの設定ではありません。氏名を消して日付をずらすのは有効ですが、それだけでは HIPAA などの正式な非識別化(de-identification)の基準を満たしません(HHS のガイダンス)。自由記述のメモ、添付ファイル、表の中の少人数のサブグループからも、個人が特定されることがあります。
- 所属機関のルール。未発表データにどの AI ツールを使ってよいかを定めている大学や病院は少なくありません。アップロードする前に確認してください。
- 共有リンク。個人アカウントでは、共有リンクを知っている人なら誰でもその会話を開けます。誰が見られるかを確認し、不要になったリンクは削除してください。ほかの人がすでに保存したコピーは、リンクを削除しても消えません(OpenAI)。
- 自分の原稿か、他人の原稿か。著者が自分の原稿に AI を使うことと、査読者が守秘を前提に受け取った原稿をアップロードすることは別の問題です。NIH は、審査員が申請書の内容をオンラインの生成 AI ツールに入力することを禁じています(NOT-OD-23-149)。ICMJE は、査読者に対し、学術誌の方針に従い、原稿の機密性を保つよう求めています(ICMJE:査読者)。
- AI 利用の開示。ICMJE は、ジャーナルが投稿時に著者へ AI の利用の有無と使い方の開示を求めるべきだとしています。AI を著者にすることはできません(ICMJE:著者)。
- 特許と秘密保持契約。特許を出願する可能性のある内容や、契約の対象となる内容が含まれる場合は、アップロードする前に所属機関の知的財産・技術移転を担当する窓口に相談してください。
アップロード前のチェックリスト
- 所属機関の、AI と未発表データに関する方針を確認する。
- 学習をオフにしたアカウントか、一時チャットを使う。
- 患者の識別情報を消し、自由記述と少人数のサブグループも確認する。
- 手伝ってほしい部分だけを送る。
- 迷うときは、特に機密性の高い新しい知見の詳細は送らない。
- 学習に使われたくないチャットでは、高評価・低評価を付けない。
- 終わったら、チャットとアップロードしたファイルを削除する。
- AI 利用の記載に使えるよう、何をどこに送ったかを記録しておく。
- 提案された修正は、原稿に入れる前にすべて自分で確認する。
原稿の問題を本当に見つけられるか
汎用のチャットボットは、文章や明らかな食い違いには強みがあります。医師が確認した誤りを 18 か所含む専門分野の章で私たちが試したところ、最も成績のよいモデルでも見つけたのは約 12〜15 か所でした。すべてを見つけたモデルはなく、正しい記述を誤りと指摘したモデルもありました。出力は結論ではなく、確認すべき項目のリストとして扱ってください。
MediCrab でできること
MediCrab は、投稿前に医学論文の原稿を確認するためのデスクトップアプリです。
- ファイルは自分のパソコンに残る。原稿、データ表、PDF、確認の記録、編集履歴は、パソコン上のプロジェクトフォルダに保存され、統計の計算もそこで行います。
- 何が送られたかを確認できる。内容が言語モデルに送られるのは AI 機能を使ったときだけです。リクエストはすべて、アプリの「What left this machine」(このパソコンから送信された内容)に一覧で表示されます。
- 非識別化機能を搭載。「De-identify」(非識別化)タブでは、個人の特定につながりうる情報を列ごとに示し、どの判定も修正できます。非識別化したコピーでは、氏名、電話番号、ID 番号、カルテ番号を ⟦P001⟧ のような記号に置き換え、日付はまとめてずらすので間隔は変わりません。対応表は自分のパソコンにだけ残り、元のファイルは変更されません。
- MediCrab が提供するモデル。MediCrab アカウントで使えるモデルは、内容を学習に使わないと約束しているプロバイダーのものだけです(プライバシーポリシーの第 6 節に一覧があります)。プロバイダーは通常、不正利用監視のためにリクエストを最長約 30 日間保持します。中継サーバーは原稿の本文をデータベースやログに書き込まず、接続が切れても再開できるよう、応答を最長 15 分間だけメモリに保持します。
- 自分のアカウントも使える。自分の API キーや、パソコン上の自分の ChatGPT・Claude のサブスクリプションも使えます。その場合はそのプロバイダーのアカウント規約が適用され、個人向けサブスクリプションではオフにしない限り学習に使われることがあります。
- 勝手には変更しない。元の原稿は読み取り専用のままです。AI の修正は、承認したものだけが作業用の原稿に反映されます。
よくある質問
ChatGPT は私の研究論文をモデルの学習に使いますか?
Free、Plus、Pro では、Improve the model for everyone(モデル改善への利用を許可する項目)をオフにするか、Temporary Chat(一時チャット)を使わない限り、使われることがあります。設定はその時点から有効で、送ったフィードバックは引き続き使われることがあります。Business、Enterprise、Edu と API は、初期設定では学習に使われません。
ChatGPT のチャットを削除すると、アップロードした原稿も消えますか?
消えるとは限りません。削除したチャットは通常 30 日以内に消去されますが、アップロードしたファイルはファイルライブラリに別に保存されていることがあります。そちらも削除してください。
守秘義務に反せずに、自分の原稿に AI を使えますか?
自分の原稿であれば、所属機関が認めていて、学習をオフにし、個人を特定できる患者データを除き、ジャーナルの求めに応じて AI 利用を開示するなら、多くの場合は使えます。他人の原稿を査読している場合は、ジャーナルや助成機関の方針に従ってください。アップロードを認めていないところも多くあります。
AI を使う前に、患者情報はどう取り除けばよいですか?
直接の識別情報を消し、自由記述と少人数のグループも確認します。正式な基準を満たす必要があるデータは、所属機関の非識別化の手順に従ってください。日付をずらすだけでは不十分です。
AI ツールが原稿のプライバシーを守れるかは、どう判断すればよいですか?
確認するのは三つです。内容が学習に使われるか、どのくらい保存されるか、誰がアクセスできるか。そのうえで、所属機関がそのツールを認めているかを確認してください。
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